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Real Fantasy物語 ~勇者ジェミニの伝説 クリスタル探索冒険記~ -運命の雪山編-

 2025-08-23

元になるお話はこちらから「勇者ジェミニの伝説

前回のお話はこちらから「勇者ジェミニの伝説 クリスタル探索冒険記 -クリスタリア編ー

 

 

いよいよ2人はクリスタルが眠るという雪山に向かうことになりました。

アレーシャの森の魔女の話では、探し求めているクリスタルはこの雪山のどこかにあるといいます。

 

クリスタリアの町で一番高い場所を目指せという占い師チャロの言葉通り、まずは山頂まで登ってみることにしました。

 

「司祭にも聞いたが、これまでクリスタルが実際に見つかったという伝承はないそうだ。

だからそれはきっと人間がたどり着けないような場所にあるんだろうな。」

 

2人はアレーシャの森の魔女の言葉を思い出しました。

 

(クリスタルは確かに雪山に眠っている。お前たちの不完全な魂は敏感だからな、クリスタルのような強い力の気配には気づけるだろう。くまなく歩き回れば、どこかでクリスタルの存在に気づくだろうさ。あとはお前たちの運次第だ。)

 

「……運次第だなんて、呑気なもんだぜ。」

「心配しないでくれ、僕は運がいいから、きっと見つかるさ。」

「はぁ~、一番呑気なのはお前だったな。」

 

2人は道なき道を山頂に向かって歩みを進めます。

前が見えないほどの吹雪に見舞われながらも、2人は気配に意識を向けながら進んでいきました。

 

そんな中、突然2人はよどんだ気配を感じて道のわきを見ると、凍り付いた屍がいくつか転がっています。

「わああっ、びっくりした!!」

「おそらくこの山を登っていて途中で力尽きたやつらだろうな。」

「このあったかい石がなかったら、僕たちも凍えて倒れてたかもね。あのターヤって子にも感謝しないとだ。」

「山頂に近づくにつれて、少しずつ魔法か何かの、いやもっと神聖な力が大きくなっているな。この先にクリスタルがありそうな予感がする。だが同時に、嫌な気配もする。」

「うん。背筋が凍るような、不気味な気配だね。気を引き締めないと。」

 

2人は慎重に山を登っていき、ついに山頂付近にたどり着きました。

 

「休めそうな洞窟があるよ。ここで整えてから行こうよ。」

「ああ……そうだな。」

 

洞窟で火をおこし、2人はしばらく体力の回復につとめました。

 

「どうしたんだい、ジェミニ。町を出たときからずっとボーっとしてるけど。」

「……いや、……なんでもない。」

「もしかして、君も怖いのかい?」

「馬鹿言え!お前じゃあるまいし。」

「ははは、そうだね。君は僕に比べてすごく勇敢だし、それにとても強い。君1人でも魔王を倒してしまうんじゃないかな。」

「……」

「あ、もしかして占いのことを気にしてるのかい?嫌だよね、あんなこと言われるなんて。でも大丈夫さ、もし何かあったとしても命を落とすのは弱虫な僕の方だろうしね。仮にもし君に何かあっても、僕が救ってみせるから。」

「…………ああ……。」

 

光のジェミニの言葉に、闇のジェミニは気のない返事を返すだけです。

2人はその後も短いやりとりをし、休憩を終えると山頂に向かって再び進み始めました。

 

「よし!登り切った!おお、山頂はこんなに開けてるんだね。しかし寒いなあ……。」

 

山頂はごつごつした大きな岩が点在しているものの、比較的見通しのいい広場のようになっていました。奥に洞窟らしきものが見えたので、そこに向かって歩き始めました。

 

しかし2人が感じた「嫌な気配」が目の前に現れます。

たくさんの屍や、剣や鎧や魔法具があたりにたくさん転がっていたのです。

 

「こんなにも多くの人がここで命を落としたのか……騎士や冒険者、司祭たちだね。エルボスやバルドティアの紋章の鎧まである。世界各地からクリスタルを探しにここを訪れたんだろうか。」

「見ろ、どの屍も大きな傷まみれだ。これは凍えて死んだんじゃない。」

「ということは……。」

 

ふたりはゾクッとするような視線を感じ、目を向けた先には……

「現れやがったか、ドラゴン……!」

 

そこには高さが5メートルもあろうかというドラゴンが、こちらを睨みつけています。

大きな翼と鋭い牙と爪、ドスドスと地面を叩きつける重そうな尻尾、いかにも硬そうな皮膚、そして冷気を帯びた体。

 

「本当にいたのか……伝説の……アイスドラゴン……!」

「わわわわ……お、お、おとぎ話の中だけの怪物だと思ってたよ!!!」

「そりゃ生きて帰ったやつがいなけりゃ、おとぎ話にもなるだろうさ!!!おい!!あのドラゴンの足元を見てみろ!!」

 

「クリスタルだ!!!!」

「クリスタルだ!!!!」

 

2人はついに探し求めていたクリスタルを見つけることができました。

しかし、そのクリスタルはまるでドラゴンが守っているかのように、その足元にかくまわれています。

 

「あの神聖なオーラと輝き!間違いない、あれだ!!!!」

「なななん、なんとか、渡してもらえないか、か、か、掛け合ってみよう……どどどどドラゴンさん、、そのくくく、クリスタルと……このきき金貨を交換しないかい……こっちもキラキラして、ききき、綺麗だよ?」

 

そう控えめな声で光のジェミニが言い終えると、ドラゴンはこちらに向かって勢いよく冷気のブレスを放ってきました。

 

「わあああ、一瞬でマントが凍っちゃったよ!!!全然話を聞いてくれないみたい!」

「お前は相変わらずおめでたいやつだな!ああいう初めから話にすらならないやつは、力で屈服させるしかねえよ!どっちがご主人様か、分からせてやるぜ!!いくぞジェミニ!!」

 

そう言うと、闇のジェミニは大きな火の玉の魔法をドラゴンに放ち、その方向へ走り出しました。光のジェミニも剣を抜き、慌ててドラゴンに向かって駆け出しました。

 

火の玉は軽々と避けられてしまいましたが、ドラゴンに接近した闇のジェミニが近距離から放った火炎の柱がドラゴンを捉えます。そこに光のジェミニの剣の閃光がいくつもドラゴンに浴びせられました。

 

2人のジェミニの攻撃は確かにドラゴンに当たりましたが、ダメージはそれほど与えられていません。

 

「くっ、体は硬すぎてダメージがあまり通らないみたいだよ。」

「ああ、魔法も同じだ。ただ今の火柱で喉元と脇腹は少し焦げてる。それに見てみろ。脇腹に剣で刺されたような傷跡があるぜ。攻めるならあそこだろうな。」

「よし、体を開かせるために左右に分かれて攻撃しよう。」

 

2人はドラゴンを挟み撃ちし、体が開いた際に隙ができた脇腹や喉元を中心に攻撃していきます。

 

ドラゴンは腕を振り下ろし、尻尾で薙ぎ払い、大きな翼で吹き飛ばしてきます。

その凄まじい威力は岩をも砕くほどです。

 

どうやらドラゴンからは闇のジェミニが目をつけられているようで、執拗に攻撃をしかけてきます。

魔法の力でバリアを張り致命傷は逃れるものの、強力な攻撃は時々そのバリアを貫いてくるため、闇のジェミニの体にはどんどん傷がつけられていきます。

 

そして猛烈な攻勢にバランスを崩してしまった闇のジェミニに、その鋭い爪が襲い掛かりました。

 

「ぐわああああ!!!!」

 

その爪に深い傷をおって倒れたのは、なんと光のジェミニでした。

 

「おい!!!!」

「大丈夫、こんな傷なんともないよ……危なかったね。」

「馬鹿野郎、なんでかばったりしたんだ!俺がやられてる隙にヤツを攻撃すれば良かっただろ!」

「は、、ははは、、、君を守るって約束したからね……うう……。あと……これでクリスタリアの貸しはチャラだよ。」

「くっ、何言ってやがる!!待ってろ!!すぐ治療してや……うわっ!」

 

しかし治療はおろか、話す間も与えずドラゴンの攻撃が襲い掛かります。

 

ドラゴンは闇のジェミニを見据えながら、言葉を発しました。

 

「貴様からは負の気配がする……クリスタルを奪いにきた、悪しき存在め。」

「違う!!彼は悪じゃない!!!クリスタルの力で魔王を倒すために、僕たちはここに来たんだ!」

 

光のジェミニはその傷ついた体を起こし、ドラゴンに向かって叫びました。

 

「信用ならぬ。世界の魔物は人間が生み出しておる。人間の邪悪さが魔物を生み出しておるのなら、神が残したこのクリスタルも人間に預けてはおけぬ。我がここに持ち出し、冷気でこの山を覆い、守っておるのだ。ここに来た者たちは皆邪悪だ。貴様らも同様。

違うというなら、それを我に証明して見せよ。」

 

「違う!僕たちは、世界を救うためにきたんだ!!この剣に偽りがないことを証明してやる!!!!」

「待て!むやみに飛び込むな!!」

 

光のジェミニの渾身の一振りはかわされてしまい、そこに大きな尻尾が襲い掛かりました。

 

「ぐわっ!!!!!」

 

弾き飛ばされたのは、なんと光のジェミニをかばった闇のジェミニでした。

 

「ジェミニ!!!!!!」

「いってぇぇ……!大丈夫だ、防御魔法で身をくるんでたからな、大したダメージじゃない。」

そんな言葉とは裏腹に、闇のジェミニは足元がおぼつかないままやっとの思いで立ち上がります。

 

ドラゴンの攻撃は光のジェミニに矛先をかえ、猛攻が続きます。

そしてその様子をかすむ目で眺めながら闇のジェミニはつぶやきます。

「ここで倒れるわけにはいかねぇ……。俺はもう、魔王を倒す目的が薄れちまったんだ……。だから、あいつを助けねえと……あいつの道を切り開いてやらねぇと……!」

 

闇のジェミニはクリスタリアを離れる前から、自分が魔王を倒す旅の意味に悩んでいました。

光のジェミニのように、少なからず信じられる人間が世界には存在するのだということ、国王から育ての親のことについて謝罪を受けて少し心が緩んだこと、信頼できる仲間と同じ目的に向かうその旅自体に今まで感じたことのないような楽しさや充実さを感じるようになっていたこと、、、

「俺が魔王を倒す目的は金のためだったが、いまはもうそんなことはどうでもいい。あいつを……死なせちゃならねぇ!!」

 

「ありったけの魔力をこめてブチかましてやるぜ、クソドラゴン!!!!そしてあいつが仕留められる隙を作るんだ!!!刺し違えてでもやってやるぜ。」

 

闇のジェミニは魔力を集中し始めました。

 

光のジェミニの素早い剣撃は少しずつドラゴンに傷をつけていましたが、どれも致命的なダメージにはいたりません。

 

「ダメだ、こっちが致命傷を受けないように戦うと踏み込みが甘くなる……これじゃあ倒せないし、こっちが追い込まれてしまう。」

 

 

光のジェミニとドラゴンの戦況を視界に捉えながらも、闇のジェミニは魔力の集中を続けます。

「もう少し……待ってろよ!!!!」

 

しかし、魔力を高める闇のジェミニに気づいたドラゴンは冷気のブレスを吐き出し魔法を阻止しようとします。

「しまった、足が凍っちまった……!」

 

ドラゴンはそこに素早くとびかかり、闇のジェミニに向かって大きな腕を振りかぶりました。

 

「ジェミニ!!!!」

 

そう叫びながらそこに光のジェミニも同じく飛び込み、闇のジェミニをかばおうとします。

 

まさにドラゴンの腕が二人に向かって振り下ろされようとしたとき……。

 

なんと、光のジェミニが持っていた、ベリフィカの洞窟で手に入れた鉱石がドラゴンに向かってまぶしい光を放ちました!

 

「いまだ!!!!」

 

強烈な光にたじろいだドラゴンに隙が生まれ、その瞬間脇腹が大きく開かれました。

光のジェミニはそこをめがけて思い切り剣を突き立てました。闇のジェミニも同じ場所にありったけの魔力を放ちました。

 

眩しい閃光と黒く渦巻く闇が混ざり合ったエネルギーが、稲妻のような轟音とともに周囲にはじけ飛びました。

 

「ギャアアアあぁオオおおおぉぉ・・・・」

 

ドラゴンは叫び声をあげ、ドスンと大きな音を立ててその場に倒れました。

 

「はぁはぁはぁはぁ……たおしたか……。」

「はぁはぁはぁ……」

 

2人の強烈な急所への攻撃にドラゴンは気絶していました。

 

「鉱石、どうして光ったんだろうな……。」

「あの不吉な占いの結果を変えてくれたのかも。」

 

鉱石の輝きは落ち着き、元に戻っていました。

 

そして2人はクリスタルのもとに歩み寄りました。

「これが……。」

「やっと見つけた……。なんてあたたかい光だ……。」

 

2人はクリスタルを手に取ると、不思議なことに傷が少しずつ治っていきました。

 

言葉もなく呆然とその場に立ち尽くした2人は、そのあたたかい光に包まれたまましばらく静かに佇んでいました。

 

それから2人は申し合わせることもなく、ドラゴンのもとに近寄り、深く突き刺さったその剣を抜き、クリスタルの光を傷口にそっと当てました。

 

意識を取り戻したドラゴンは2人に向かって

「見届けよう」

と一言発し、その体は小さな結晶となって2人の足元に落ちてきました。

光のジェミニはその輝く結晶を手に取ると、目を閉じ額にあて、小さく何かつぶやいたあと、鉱石と一緒に大切にしまいました。

 

「ありがとう。」

「ああ、こちらこそだ。」

 

2人はそう短く言葉を交わし、その場をゆっくり後にし、雪山を降りていったのでした。

 

 

死闘の末ついにクリスタルを手に入れた2人のジェミニ。

あとは魂を1つに戻し力を手にすれば、いよいよ魔王を倒す準備が整います。

 

さて、2人が出した答えとはいったい。

 

勇者ジェミニの伝説 クリスタル探索冒険記 -バルドティア王国編- へつづく

前回のお話 クリスタリア編 はこちらから

 

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